いずくより 来たりし滴(しずく)空よりか 眼よりくだりて 海へと至る
照滴011
本文
いずくより 来たりし滴(しずく)空よりか 眼よりくだりて 海へと至る
形式
#短歌
カテゴリ
#5.自然・風景
ラベル
#雨 #海 #自然現象 #宇宙 #空
キーワード
#滴 #空 #海 #眼 #循環
要点
雨滴の流れを視覚的に追い、宇宙と自然の循環を描く。
現代語訳
どこから来たのか、この滴は。空からか、目からか。そして海へと至る。
注釈
いずくより:どこから
眼より:感覚的に体験される滴の流れを示す
海へと至る:自然や生命の循環を象徴。最終的に大きな集合体(真理、あるいは輪廻の海)へと帰っていく。
解説
滴の動きを通して、宇宙や自然の広がりを表現。人間の感覚と自然の流れを結びつけることで、観照的な風景描写を深めた短歌。
深掘り_嵯峨
「滴」をモチーフに、生命や感情の根源と行方を問う、哲学的な歌です。「空」(宇宙、天)から来た滴(雨)と、「眼」(人間、感情)から来た滴(涙)が、その起源は異なれど、最終的には「海」という根源的な集合体に帰っていくという循環の思想を表現しています。
これは、個人の感情や小さな存在(滴)が、実は宇宙的な大きな流れ(空、海)と一体であることを示唆しています。人間の涙も、天の雨も、法の世界においては区別されないという、密教的な世界観にも通じる一首です。